乳房は主に乳腺と脂肪組織で構成されており、その割合には個人差があります。同一人でも加齢(特に閉経後)により、乳腺量が減って脂肪の割合が増えていきます。
マンモグラフィでは乳房構成を、乳腺の割合によって多い方から「極めて高濃度」「不均一高濃度」「乳腺散在」「脂肪性」の4つに分けて表現します。このうち「極めて高濃度」と「不均一高濃度」を高濃度乳房(デンスブレスト)としています。日本人の40歳以上の約4割程度の人が、高濃度乳房と推測されています。年齢が高くなるほど高濃度乳房の人の割合は少なくなります。
マンモグラフィでは乳腺も乳がんなどの腫瘤も白く映るため、高濃度乳房ではマスキング効果によって、「雪原の白うさぎ」と同様に、がんが見つかりにくくなると考えられています。
マンモグラフィ検診で高濃度乳房と報告書に記載される事がありますが、乳房構成の個人差をお伝えしているだけで、異常や疾患の意味ではありません。高濃度乳房は、欧米のデータでがんの罹患リスクが高くなると示されていますが、日本人においてはまだ確実なデータはありません。ただし、乳腺量が多いということでの注意は必要です。「腫瘤が隠れている確率が高い乳房なので、日頃の乳房チェックを続けて下さい」、「画像検査を追加するなら超音波検査がいいですよ」というメッセージだと理解してもらえればと思います。