マンモグラフィ検診で石灰化を指摘された時、石灰化って?癌?と不安に思う事があるかと思います。マンモグラフィでは白い点として見えます。石灰化は主にカルシウム成分で、乳管内で増殖したがん細胞の中心部で細胞が壊死した結果生じる壊死型石灰化、乳管内で乳汁が閉塞貯留して生じる分泌型石灰化、乳管外の間質に生じる石灰化があります。乳管内に生じる石灰化は1ミリ以下の小さいものです。
理論的に診断するために、その形状と分布を組み合わせて悪性の可能性を推定します。大小不同、濃淡不同、カドがある、微細線状、分枝状の形状の時は悪性を疑います。分布が区域性・集簇性の時は、病変の存在を考えます。こういった所見のときには、良悪性の鑑別が必要な石灰化と判定し、カテゴリー3以上・要精密検査となります。該当部位を超音波で確認して、病変が確認できれば、超音波誘導下に細胞診や生検を行います。超音波で増殖性病変が確認できない時の多くは良性サイドの判断となりますが、疑わしい石灰化所見の場合には乳房MRIを追加したり、マンモグラフィでのステレオガイド下生検を検討したりします。石灰化は、時間をかけて形成されるため、完成形でないと診断しきれないことがあり、6ヶ月後や1年後に数が増えていないか、形状が変わっていないかなど経過観察となる事があります。変化を認識した時点で仮に癌と診断されたとしても、非浸潤癌のことが多いので、過剰な心配はしないで、しっかりと経過観察することが大切です。また、良性石灰化と記載されているのであれば(要精密検査でなければ)、心配することはありません。良性と判断される石灰化はよく遭遇する所見で、ほぼ正常と言えるものです。細かな良性所見を記載すると不安になってしまうことがあるため、例えば、微小円形石灰化がびまん性・散在性に認められる場合でも、異常なしと判定を出すことがよくあります。次回の検診時に、以前から存在していたことを伝えたい時は良性石灰化ありと記載します。
不安に思っている方に、少しでも参考になれば幸いです。
2023.7.2のブログ「サイズからみた乳腺の石灰化」もあわせてご参照いただければと思います。
